私がまだ小学生だったころ、夏休みになると友達数人で「クワガタの成る木」にクワガタやカブトムシを捕まえに行ったものです。
大抵一匹はいるのですが、見つからないときには木を思いっきり蹴ると上から落ちてきます。
木を傷めるので最近ではやってはいけないようですね。
ある日、その木でノコギリクワガタを見つけたのです。
そのクワガタは立派な水牛のようなアゴを持ち、体も大きく全体が赤褐色でした。
赤色と言った方がいいかもしれません。
今までみたこともない立派なものです。
もう大興奮です。
それからかなりの年月が流れました。
今ではカブトムシやクワガタを見つけても、ほしい人にあげるよ。
と言うくらいの余裕もできました。
決して興味がなくなったわけではありませんよ。
つい先日、家の近くでたまたまノコギリクワガタを見つけました。
久しぶりに立派なものです。
アゴもしっかりと発達しています。
幼虫時代の環境や栄養不足、または遺伝でアゴがまっすぐだったり、雌のようにアゴが小さかったり、体も小さかったりするようですが、この個体はいい状態で育ったようです。
触ると怒って固まってしまうので、それをいいことにひっくり返したりつまんだりして観察(撮影)します。
体の色は標準的な濃い茶褐色です。
ノコギリクワガタについて調べてみました。
飼育した方によると、「生まれて1、2年で成虫になり、羽化した夏から更に次の夏までは蛹室で飲まず食わずで1年じっとしていてようやく次の年の夏出てきて活動して秋には死んでしまう」ということです。
姿を現すのは一生のうちで少しだけということです。
少しだけセミに似ていますね。
生息地帯はほぼ全国で、北海道にもいるとは驚きです。
ヒラタクワガタやミヤマクワガタよりもかなり丈夫なクワガタらしく、暑いところでも開発が進んでいる雑木林にもいるそうです。
これも意外でした。
イメージからは繊細でちょっとの環境変化にも耐えられなさそうなのですが。
久しぶりにノコギリクワガタに会えて子供の頃の気分に帰れたような気がします。
ノコギリクワガタは私にとっては特別なクワガタなのです。