レンゲは春先、稲を刈った後の田圃に生えてきます。
そして芽を出し、根を張り、花を咲かせます。
この時点でかなりの役割を果たしています。
まずレンゲ自体が家畜の餌になります。
高タンパクで飼料としては申し分ありません。
春先に真っ先に芽を出すので、他の草の生長を妨げる役目もします。
そして花はミツバチに密を提供します。
根は田圃の深いところにある栄養分を吸い上げ、養分として体に蓄えます。
そして特筆すべきは、空気中の窒素を直接体内に取り込んで肥料を作り出すことが出来るのです。
その部分は根にあって、瘤(こぶ)がたくさん付いているところです。
そこには窒素固定菌または、根瘤菌(こんりゅうきん)と言われる微生物が住んでいて、そこで肥料が作られるのです。
すごい仕組みですね。
花が終わり、種が土に落ちてから田圃を耕します。
もちろんレンゲもすき込みます。
そして田植えが始まり、稲刈りが終わるまで種は地中で眠り続けるのです。
ところが最近まではレンゲを見かけなくなりました。
化学肥料の増加と、作業に手間がかかるとの理由で、レンゲを雑草扱いし、田圃にレンゲが生え始めると耕耘(こううん:耕すこと)してしまい、なにも生えなくしてしまうのです。
端から見れば、その田圃は草が生えかけるとすぐに耕耘してしまうので、いつも耕されたばかりのようで綺麗に見えます。
でも土はどんどんやせ細っていっているのです。
見た目にだまされてはいけません。
自然には養生というものが必要なのです。
養生というのはいい言葉ですね。
何も生えないようにしていると土がやせ、化学肥料に頼るようになります。
するとさらに土がやせます。
悪循環です。
最近は目先の結果だけにとらわれることが多くなりました。
自然界ではなかなかすぐには結果は出ません。
自然にはちょっとのことなど吸収してしまう懐の深さがあるのです。