私の好きなニホンオオカミが、東京の上野で公開されるらしいです。
国内にある剥製標本三体が集まるのは始めてのことだそうです。
三体のうち二体は、和歌山県立自然博物館と東大農学部所蔵のもので、もう一体は、国立科学博物館所蔵のものです。
和歌山の標本は1904年ころに、和歌山と奈良の県境で捕獲された雄の成獣で、東大の標本は1881年に岩手の業者から購入した雌です。
科学博物館の標本は明治時代初期に福島県で捕獲されたものです。
ニホンオオカミは1905年の捕獲を最後に絶滅したと考えられています。
上野動物園では1881年に、国立科学博物館の前身の東京教育博物館からオオカミの子供二匹を譲り受けて飼育し、うち一頭は1892年まで生きたという記録があります。
近年では九州でオオカミを撮影したと報道されましたが、どうやら間違いであったと結論が出ました。
日本オオカミと山犬とは区別がしづらく、専門家でも写真だけでは判別に困るそうです。
ニホンオオカミについては、こちらのサイトがなかなかおもしろいです。
実に、つい100年ほど前まで日本オオカミは生存していたのです。
私の祖母が小さい頃、山の奥でオオカミの遠吠えを聞いていたと話してくれたことがあります。
それもオオカミか山犬かは分かりませんが。
私が一番心配しているのは、日本オオカミに代表されるように、ある生物が危険だとか、気持ち悪いとかという思いこみで、人々がその生物を抹殺しようとする気持ちが生まれてしまうことです。
または、羽や毛皮、肉などの利用価値から、取り尽くしてしまうことです。
種(しゅ)が絶滅するというのは恐ろしいことです。
もう二度とその種は現れることはないのです。
今まで数多くの種が絶滅淘汰されて、現在のような生態系になってきました。
調査によると今でも数多くの種が絶滅しているらしいのです。
でもこれは仕方ありません。
特定の生物の意志で絶滅させているわけではないのですから。
しかしヒトは意志を持って抹殺しようとします。
生物はすべて関わりを持って生きています。
ひとつの種の傲慢さが自分の首を絞めることになるのです。
そのことに気付くことが、絶滅させてしまった生物へのせめての供養になるのではないでしょうか。
話を戻しまして、ニホンオオカミの公開について、国立科学館では常時公開しているようですが、上野動物園では2006年2月4日~26日の期間で公開するようです。