先日、山奥で一人のおじさんが畑仕事をしているのを見かけました。
見るからにそこに住んでいる人ではなさそうです。
こんな山奥の、家も空き家ばかりの山村で(空き屋というよりはもう崩れかけていますが)、かつては田畑であったらしい土地が点在しているところです。
ほ。
その一角をおじさんが耕しているのです。
なにやらおもしろそうな話が聞けそうな感じがしたので話しかけてみました。
するとやはり、1年前に畑を借りて初めて農業を始めたということでした。
農業は初めてということでまだいいものは作れていないようです。
米も作ってみたところ、収穫前にイノシシにやられ全滅です。
畑もまだ猫の額ほどの広さです。
白菜も全然巻いてなく、見たところなんの野菜かも判別できません。
けれどもおじさんは全く気にしておらず、逆に満足げなのです。
おじさんの話を聞いていると、農業は手をかけただけ結果が帰ってくるので面白く、今回こういう結果になったのは、まだ土作りが十分にできていなかったからだとか、輪作(同じ作物を同じ場所に植えること 作物によっては出来が悪くなる)の順番が悪かったからだとか、柵を作ってなかったからだとか、いろいろ原因を考えて対策を練る、実験のような楽しさがある ということが伝わってきました。
おじさんの目指しているのは、やはり食料の自給自足でした。
動物を飼い、田畑から食料を得、廃棄物はまた田畑に返す、完全循環のシステムです。
捨てるものは何もありません。
昔はこれが当たり前だったのですが・・・。
おじさんの試みはまだ始まったばかりです。
農業はすぐに結果が出るものではありません。
しばらく試行錯誤を楽しまれることでしょう。