新聞に、休耕田に雑草がはびこるのを防ぐ方法が紹介されていました。
機械や農薬などはいっさい使いません。
その方法とは、南アフリカ原産のアークトセカという植物を休耕田に植えるのです。
アークトセカはキク科の植物で、5月から6月頃、タンポポに似た黄色の花を咲かせます。
観賞用としても楽しまれています。
繁殖力が強く、田圃の畦などに植えると雑草の繁殖を押さえ、草刈りの手間が省けるのです。
最近では道路工事などで切り崩した崖などの法面緑化にも使われるそうです。
農家(兼業農家も含めて)の高齢化で後継者がいなかったり、減反のあおりで放っておかれる田圃(水田)に雑草が生え、ほかの農作物に悪影響を与えたり、再び田圃として使用しようとしても困難だったりするという問題が深刻になってきているのです。
意外に思われるかもしれませんが、田圃だった土地をしばらく放っておいて、再び田圃として使用するには、土作りから始めなければ稲は育たないのです。2、3年はかかるのです。
ところが、このアークトセカで覆われた田圃は、雑草を生やしたままにした休耕田に比べると、いつでも水田に復活できるというのです。
なかなかいい方法です。
しかし、一つ気になることがあります。
それは将来アークトセカが帰化植物として、厄介者になりはしないかということです。
セイタカアワダチソウや、セイヨウタンポポのようにです。
一度広がってしまうと取り返しがつきません。
長大な時間をかけてできあがった生態系を崩すことになるのです。
かつて二酸化炭素をよく吸収し、成長も早く、紙も作れ、環境教育に優れているといわれた植物がありました。
ケナフです。
いろんな学校で、環境教育と称してケナフを育ててきました。
しかし二酸化炭素の循環、外来種の帰化による生態系への影響などを考えると問題は大きいのです。
子供たちに環境への関心をもってもらうにはいいかもしれませんが。
いずれケナフについても詳しく検証してみたいと思います。
アークトセカは、実際に農業に携わっている高齢の人たちには福音かもしれません。
試行錯誤してアークトセカにたどり着いたのだと思います。
その熱意には敬服します。
しかし私としては、元々日本にある在来種でなんとか出来ないものかと考えてしまいます。
雑草問題は農家にとって大きな関心事ですから、みんなで考えて行かなくてはなりません。