私の家では私がまだ小さかった頃、汲み取り式のトイレでした。
今でこそ汲み取り式から浄化槽水洗トイレ、下水道水洗トイレへと変わっていき、快適にトイレを使うことができます。
汲み取り式トイレの時は、排泄物が溜まったら桶にくみ出し、畑や果樹に撒いたものです。
浄化槽の時も、基本的にはバクテリアに糞尿を分解させ、きれいになった排水を川に流すようになっていますが、年に何回かは中を汲み出さなければならないようになっていました。
まだ発酵してなく、肥料になっていない状態でしたから、臭いが大変でした。
本来は十分発酵させてから撒くようです。
その発酵の度合いは、昔は舌でなめて判断していた人もいるようです。
今のように紙ではなく、柔らかい葉っぱでお尻を拭いていたそうで、発酵具合もよかったようです。
しかし、そのようにして作った堆肥を畑に撒くことで、回虫などの寄生虫も多く発生し、蔓延していた事実もあります。
今でこそ寄生虫はほとんどいなくなりましたが、昔はほとんどの人に寄生虫がいました。
寄生虫はおなかの中で卵を産み、栄養を人からもらって大きくなります。
卵は排泄物と一緒に出てきて、動物に寄生していたなら、いろんなところにばらまかれて増えていきます。
人の場合、汲み取り式のトイレの場合、昔ならほぼ100%寄生虫の卵が入っています。
いくら熟成しても加熱殺菌などしない限り、卵が死ぬことはありません。
この卵が入った人糞を肥料として畑に撒くのですから、畑の野菜に卵がくっつきます。
その野菜をよく洗って食べたとしても、すべての卵を取り除くことができるとは限らないので、何個かは人の口に入ってしまいます。
このようにして、非加熱の人糞肥料を畑に撒くことで、人はエンドレスに寄生虫と付き合ってきました。
基本的には、宿主である人が死ぬと寄生虫も死んでしまうので、寄生虫は人が死なない程度に栄養分をもらいます。
しかしやはり、人には何らかの不調が起きます。そこで、学校などでギョウ虫検査をして、ギョウ虫を駆除するようになりました。
ギョウ虫も、人糞肥料という供給源があるのですから、なかなかいなくなりません。
ところが水洗トイレが普及しだした頃から、ギョウ虫は急激にいなくなりました。
人糞を肥料として使わなくなったためです。
不思議なことに、花粉アレルギーや、アトピーなどの症状が顕著になってきたのもこの頃からです。
一説には、寄生虫などの体にとって異物がいたお陰で、体にいろいろな抗体ができていたのが、異物を徹底的に取り除くようになって、体に抵抗力がなくなってきたのではないか、というものもあります。
確かに現代では、抗菌グッズや消臭剤など、異常な清潔さを求めています。
それに対抗してか、わざわざ回虫を体に飼って、ダイエットをしたり、体調を整えたりする人もいるようですが、そこまでしなくても・・・とは思ってしまいます。
17~18世紀ごろまでのヨーロッパの都市では、糞尿やゴミは道に垂れ流しにしていたそうです。
みんなよく我慢していましたね~。
トイレとは偉大な発明だなと思いながら用を足す日々です。
(た~まに思います。)