先日の新聞に水車についての記事がありました。
技術的な内容ではなく、主に日本人の心の部分に触れた内容です。
日本全国の水車を見て回った筆者は、「少ない水を工夫して使う技術は、もったいないという心の表れだ」といいます。
水車といえば、揚水、精米、製粉、発電などに使われています。
水量が多い、または水の落ちる落差が大きいほど水車に与えるエネルギーは大きくなります。
すなわち効率よく仕事をさせることができます。
回転数が上がるほどパワーも出ます。
車のエンジンと同じですね。
これは水車を発電用に考えたときに重要になってきます。
ですので水力発電をおこなおうとすると、落差と水量がある場所に限定されてしまいます。
(実際はそうとばかりはいえませんが。)
けれど、発電だけでなく他の用途に利用するなら、いろんな所に水車は設置できます。
例えば揚水。
回転数はなくてもトルク(回転力)があれば実用になります。
あれ?
水車が設置できるところには、揚水は必要ありませんね。
製粉や精米などは回転数の低い方が、発熱によるうまみが損なわれにくいそうです。
こういう場合は水の少ないところでも実用になります。
実際、筆者が調べたものでは、普通の水車で一昼夜かけてつける米に、水の少ないところでも稼働するタイプの水車で、一週間かけてついたものも存在するようです。
このように昔の人は、その地域にあった水車の利用法を考えてきました。
しかし、現在は非効率な水車をやめて、風車を作る話が聞こえてくると筆者は心配しています。
水車を利用するには、一年を通して適度な水流を得ることが必要ですが、そのためには山の手入れが欠かせません。
つまり水エネルギーの利用は自然との共生も促すのです。
「目先の効率よりも次の世代の糧となる風土を生かす技術の継承と、活性化を実現したい」という筆者の考えに大賛成です。
私も自分の住んでいる限られた環境で、いかにエネルギーを自給するか、ということを考えています。
その上での効率を考えます。
その方が楽しいですから。
ちなみに筆者は、岡山理科大学理学部教授の若村国夫さんという方です。