以前に、トウモロコシを収穫しようと思ったその前日に、カラスやイノシシなどによって、食い散らかされてしまうということを書きました。
そして、まだ私が小さかった頃はそんな被害はほとんど無く、おいしいトウモロコシをたくさん食べることが出来ました。
なぜ最近になって野生動物の被害が増えてきたのかなとずっと考えていました。
里山が手入れされず荒れてしまい、動物の食べるものがなくなってしまったのか、杉や檜などの植林を進めたため、実のなる木が減ってしまったのか、人が山々を開拓していったため、動物の住むエリアが狭まったからなのか、様々な原因が考えられます。
しかし、昨日の新聞に、なるほどと思わせる記事が出ていました。
それは農業作家である山下惣一氏による記事です。
氏もイノシシなどの被害に困っている一人ですが、氏の考える理由というのは、昔は居た、畑の用心棒が居なくなったから というものです。
用心棒とはなんだと思いますか?
それは野良犬や野良猫たちです。
野良たちは里や山で生活し、野生でもなく、飼われている身でもなく、山と里との中間で生活していました。
人に危害を与えるでもなく、夜な夜な里を徘徊しては、野生動物が近寄るのを防いできたのです。
ところが近年、野良への風当たりが強くなって、ほとんど野良を見かけません。
その結果、今までの均衡が破られ、野生動物が里へ出没するようになった というのです。
なるほど、と思ってしまいました。
確かに私の子供の頃は、野良はたくさんいました。
古い屋敷にネコが住み着いて毎年子猫が生まれていました。
犬たちは人と一定の距離を置いて、静かに暮らしていました。
そして野良たちは迷惑をかけることなく、人々と共存していました。
そのころは野生動物による被害はほとんどなかったように思います。
ところがしばらくして、保健所が野良を捕まえるのに、躍起になる時期が来たのです。
至る所に仕掛けが置かれていました。
学校から帰る途中に、かごの中で悲しそうに鳴いているのをほぼ毎日見た記憶があります。
当時はそれほど野良が多かったということでしょうか。
人々も野良に嫌悪感を持ち始めていました。
何もしないのに野良というだけで、怖い、汚い、うっとうしいからと、保健所に連絡していました。
野生動物の被害が多くなってきた時期と確かに一致します。
私は野良は居てもいいと思っています。
それが自然な姿だと思っています。
確かに狂犬病など怖い部分もありますが、だからといってすべて排除するのは不自然です。
アリが嫌だからといって、巣ごと消滅させてしまう薬が出来たり、アオダイショウ(無毒のヘビ)が庭にいるからといって、役場などに駆除してもらったりしていたのでは、野生との隔たりがますます拡大してしまいます。
私は山下氏の意見にひどく共感してしまいました。
「用心棒特区」で野良を復活させ、保健所は立ち入り禁止!
そまで過激でなくていいので、もう少し野良も認められるならば、人々の心も、作物の収穫も豊かになるのではないかと思っています。