それから月日は流れて、もう分別の付く年頃になった私は、太陽電池を求めて街をさまよっていました。
そのころには雑誌などで太陽電池の通信販売はありましたが、出力の大きいものはとても高く、手が出ません。
しかも大きなものは実際に見たことがなく、想像の域を出ません。
今でこそ屋根に乗った系統連携の太陽電池を、いやでも目にすることが出来ますが、当時はそんなものはありません。
あるのは太陽熱温水器くらいです。
あれは見た目が太陽電池によく似てるんですね~。
おっ、と思ってよく見たら太陽熱温水器だったということがよくありました。
あるとき、いつものように自転車で探し回っていると、なにやら黒い板のようなものが小さな店先においてあるのを見かけました。
そのときピンときました。
見間違うはずありません。
太陽電池です。
しかし人見知りの激しい私は、立ち止まって確認することなど出来ませんでした。
まして店の人に聞くなんてとんでもないことです。
何度も店の前を往復しました。
もちろん怪しまれないように、止まることなく目だけを店に向けて凝視しながら、ゆっくりと自転車で進んでいきます。
瞬間的にめいいっぱいの情報をインプットするよう努めました。
するとその太陽電池はアモルファスで、出力15Wの太陽電池だということが分かったのです。
ここまで情報が得られれば十分です。
もう心臓がドキドキです。
県内に大きな太陽電池を扱っている店があったのです。
もちろんインターネットにも電話帳にも載っていませんから、まさに足で稼いだ情報です。
やはり捜査は足で稼ぐことが重要ですね。